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2理事会(Executive Committee)

北川弘光
理事会は公式的には,9月15日,18日及び20日の3回開催されたが,非公式な会合も行われ,評議会メンバーを兼任するものが殆どであることから,同様趣意の議題について,会畑中,繰り返し反復討議している印象が払えず,やや冗漫な会議に終始した感が強い。
ITTCの実権が,理事会から評議会に移行して久しいが,今回の理事会では,理事会の復権を巡って若干の議論が行われた。その一つの現れが,評議会メンバーの資格問題の議論であり,これには評議会が肥大化し,実際的な意見交換,審議の場として相応しくない現状が背景にある。ITTC組織改編に係わる審議,提案作成の除,肥大化の弊害は指摘され,提案作成には作業グループ程度の規模の活動が必須であることは十分認識済みの筈ではあるのに,評議会の肥大化の弊害を取り除く議論,作業を評議会自身に当初委ねたことに問題がある。
9月15日の理事会では,組織機国代表の出一席率の低さが議題となり,SamFrancisco会議の状況と合わせ調べてみると,出席率の悪い機関が特定できる,このことは,評議会に設けられた組織検討作業グループが作成した組横改編案でも既に認識されている。つまり,Specialist Committeeの新設により,従来技術委員会のメンバーとして活躍することのなかった組織機関からの参加を誘うことができ,その結果として,本会議への組織機関代表の出席率が向上するのではないかと考え,Specialist Committeeの積極的効用を認めた論拠ともなっている。
ただ,出席率の悪さの原因が,登録科を含めた総経費の高さにあることは否めない,ITTC OBとも言えるシニア・メンバーの出席率の悪さがこれを如実に物語っている。技術委員会の数を減じ,会期を短くし,参加経費の面でも参加工数の上でも軽量化を図ることが政綱の本意であった筈であるが,従来路線最後の今回は別として,さて次回はとなると,いささかの危惧を禁じ得ない。次回開催地の決定は,経済的な配慮を質す意見が少なくなかったものの,結局は複控な政治的問題に触れる恐れを回避しようとする意向が働き,割高ではあるが,致し方なしとなった訳である。しかし,これは,あくまで特例であって,引き続き会議関係経費の引き下げに努力を怠ってはなるまい。
ITTC組織機関として新たに,韓国のSamsung Heavy Industriesと中国のTianjin Universityの参加が承認された。Tianjin Univorsity,ice tankを主要施設としての参加であり,氷工学関係者には朗報であろう。評議会への,RomaniaからのICEPRONAVの参加希望は,評議会メンバー資格の見直しと厳正な運用が議論されている折と言うこともあって,ITTCAdvisory Councilに関する規定の内,ITTCへの貢献度の点で資格要件を満たさず,このため,この3年間の貢献度を見守り,次回総会意の折に改めて資格審議を行うこととした。
評議会資格は,2 Conference Periods,即ち6年毎に見直すこととなった。実務的には,評議会の半数ずつの見直しを3年毎に行い,その都度ITTC規定を全て満足することを立証する報告書の提出が求められる。報告書は理事会が取りまとめ,評定し,評議会に勧告する。
2002年開催予定の第23回ITTCについては,開催国候補の現状について報告があり,Bulgarian Ship Hydrodynamics Centreからの招待状の紹介に対して,開催地サーキュレーションの基本方針の確認等の議論があった。2002年の開催地立候補の期限が1998年9月であることから,議論はITTC Newslrtterでこの期限を周知させることを取り決めるに留まった。
各技術委員会メンバー候補者の選出と委員長候補者の選定審議が繰り返し行われ,理事会案は,最終日の総会において報告,承認された。
なお,第22回ITTCより,Pacific Islands代表理
事は,北川(日本造船技術センター顧問)が退任し,加藤教授(東京大学)が選任されたことを付記する。

3評議会(Advisory Council)

北川弘光
ITTC規則に則って資格を得た試験水槽機関代表の集まりが評議会であり,議長,副議長及び幹事(secretary)は評議会委員の互選により選任される。資格規定の内容が示すように,ITTC組織の中で,ITTC発足当初の試験場長会議の趣を最も残している組織である。ITTCが発足当時の方針から変革し始めた頃に設立され,理事会理事と異なり任期に制約がないことから,次第にITTCの実権を掌握してきた組織でもある。ITTCの運営に係わる事項を検討審議し,理事会へ勧告又は答申するのが本来の役割であり,評議会の勧告を受けて理事会が具体案を決定し,その案件は総会に諮り総会にて承認されて初めて施行,実行に移される。しかし,ここしばらくは,理事

 

 

 

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